VERY October 2021
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October 2021

2021年9月7日発売

890円(税込)

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SHELLYさん「予期せぬ妊娠が女性側の責任になるの、なんで?」

※このコラムは2020年12月号(11月7日発売)に掲載されたものです。

 

最近、性教育の話題でのテレビ出演が多くなりました。先日NHKに出演した際はネットでも話題になったようで、みんなの関心が上がってきているのを感じます。でもいまだに、性教育=性行為教育だと思っている人がすごく多くて。性教育というのは、体や心の変化についてはもちろん、自分や相手のことを理解して尊重すること、性別にとらわれない自分らしさについてなど、人間社会で生活していくうえで必要な知恵や常識を教えるもの。性行為自体の話は、性教育の中でほんのひとつまみで、もっと手前の話こそが大事なんです。それなのにその話を飛ばして、高校生に避妊しなさいとだけ言うのはとても無責任だと思います。若い女性が公衆トイレなどで出産後、その場を立ち去ってしまい逮捕されるケースがたまに起こりますよね。自分を守る大切さを何も教えられず、相談できる環境もなく、陣痛が来たから人目につかない場所へ逃げ込んで、怖くて痛い思いをして産んで、結果パニックになって逃げてしまった。そうしたら女の子だけが罪に問われて、名前まで晒される。でもこれって、DNA検査をして同じ罪に男性の方も問うべきことじゃないでしょうか? 性教育をしないのであれば、こうした女の子の罪には寛容であるべきで、急に「母親のくせに」と女の子を指さすのは違うと思います。

 

妊娠については、そもそも女性側の自己責任論がとても強いですよね。日本では、中絶も相手の男性の署名が基本的に必要です。何それ?って思う。日本で女性は、自分の体で起きていることを、自分の一存で決めることができないということです。中絶にしても、日本では外科手術が一般的で、少しずつ吸引法が広まってきたところですが、お金は自己負担で高額。一方、世界ではより苦痛を少なく中絶できる薬剤による方法が広まっていたり、保険がきく場合も。個人的には、双方のリスクを含めてもっと議論を深めていき、将来的には選択肢が増えていくといいなぁと思っています。

 

ようやく来年実施に向けて動きはじめましたが、日本ではまだ緊急避妊薬が市販薬化されていません。現状、緊急避妊薬は産婦人科でしか手に入らず、しかも1万円前後と高額でお金を持ち合わせていない人もいる。「若い女性への性教育の場が少ない」ために「アフターピルが安易に使われるのを懸念する」という趣旨の発言をして炎上したケースが最近もありましたが、女性が自分の身を守りたいと思ったとき、日本ではハードルばかりが課せられてきた気がします。

 

そもそも避妊の話でも、もし男性が妊娠する側だとしたら、精子を出なくさせたり受精を無効化するような薬が開発されているんじゃないかと思います。結局、女性は自分で身を守るしかない。でも性教育が十分でないために、ピルを飲むということにすらアクセスできていない人が多い印象です。

 

性教育が日本で進まないのは、いわゆるラウド・マイノリティの人たちの声に合わせてしまっているからのような気がします。実感として多くの人が「性教育はやるべきだ」と思っているにもかかわらず、「性教育反対!」と声高に言う少数の意見ばかりが通ってきてしまった。もちろん「性教育をしない」という声を排除するのも、多様性に欠けることだと思うので、自分の子にしたくない人は授業を選択制にするとか、いろいろやり方はあると思うんです。「寝た子を起こすな」とよく言うけれど、子どもたちは寝てないですから(笑)。

 

私も4歳と2歳の娘たちに、例えば生理の話だとかもしています。これはNHKではまだ話せなかったことだけど、月経カップを娘の目の前で洗って、これはね、と説明したりとか。痛くないし、大丈夫だよって。2歳から、自分の体は自分のものだよ、誰かが触ってきたらお母さんに言うんだよと言っていれば、何かあったときにすぐ気づける。どこまで理解してるかわからなくても、種をまいておくことで、「お母さんが言ってたことってこれかな」と繋がると思うんです。

 

でもずっとメディアに携わってきて、ここ数年、特にこの1年ですごく変化を感じるのは、女性差別の発言がちゃんと炎上するようになったな、ということ。昔「涙は女性の武器」と言った政治家も、今だったらどんなことになっていたか。#Me Tooから日本は確実に、ちょっとずつ変わってきている気がします。少し前なら、声をあげれば怒れるフェミニストおばさん扱いをされていたと思うけれど、日本ならではの女性運動が始まりつつありますね。

 

ただこの声を、ネットにのせただけで満足してはいけなくて。どんなにバズっても、いいねが増えても、結局変えられるのは投票だから。芸能人は政治を語るべからず、な雰囲気があるけれど、もっとみんなと語り合いたい。子どもたちにいい未来を残すため、もっと政治を身近なものにしていけたらいいな、と思っています。

 

▶︎【性教育】は3歳から!小学生からではもう遅い理由

 

▶︎SHELLYさんと考える「日本の性教育が遅れている理由」

 

◉SHELLY|シェリー
1984 年生まれ、神奈川県出身。14 歳でモデルとしてデビュー以後、タレント、MCとして幅広く活躍。4歳と2歳の娘の母。

撮影:須藤敬一 取材文:有馬美穂 編集:羽城麻子
*VERY2020年12月号シェリーの「これってママギャップ?」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

SHELLYのこれってママギャップ?

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