乾燥対策で全身にボディクリームを塗るなら、30代からはボディのエイジングケアもできるものを選びたいところ。そんなニーズから、レチノール入りの全身保湿ケアコスメが続々と登場しています。ボディケアにレチノールを使うことの意味や使い方の注意点のほか、おすすめの人気アイテムまでたっぷりご紹介します。
この記事の監修者
ウォブ クリニック 中目黒 総院長
髙瀬聡子先生
1995年、東京慈恵会医科大学を卒業後、同大学付属病院で皮膚科勤務を経て、2007年美容皮膚科クリニック「ウォブ クリニック 中目黒」を開院。日本美容皮膚科学会会員、日本皮膚科学会正会員。
著書に「いちばんわかるスキンケアの教科書」(講談社)、「ゆる美容事典」(講談社)、「気になるパーツのスキンケア2週間速効メソッド」(宝島社)。近著は「お肌は最強の『バリア』です!」(晶文社)。
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レチノール入りボディクリームが話題!その理由は?
レチノール入りボディクリームは、少し前にSNSでバズっていたアイテムの1つ。自然派アイテムのプラットフォームサイト「iHerb®(アイハーブ)」のアイテムが長らく完売と再入荷を繰り返す入手困難品となり、話題になっていました。また、レチノールが近年の流行成分であることも理由の1つ。顔だけでなく体にも使いたいというニーズが高まり、新製品の発売が相次いでいます。
そもそもレチノールって?
体に塗ってもいいの?
撮影/渡辺謙太郎
レチノールとは
レチノールはビタミンA誘導体の一種です。加齢に伴い減少するコラーゲンの生成やヒアルロン酸の合成を促し、シワやハリ不足などエイジングの悩みに働きかけたり、皮脂の過剰分泌を抑えて毛穴が開くのを防いだりと、さまざまな美容効果が期待できる成分として知られています。そのほか、周期が長くなる大人肌のターンオーバーを促して古い角質を除去し、トーンアップしたように見えたりも。さまざまな作用により肌の土台が整うことで、使い始めて比較的早めに効果を実感できることも人気がある理由です。
体にレチノールを塗るならボディ用を
レチノールは顔以外に塗っても、もちろんOKです。ただし高価な成分なので、顔用のクリームや美容液を面積の大きな体に塗るのはコスパ面からおすすめできません。また顔用のクリームは広い部分に塗り広げるものではないのでテクスチャーが硬めなことも。ボディクリームはその点も考慮された製品で、全身に塗りやすいテクスチャーや、濃度を下げてコストを抑えるなど、“体用”として作られています。体にレチノールを使うなら、ボディ用のクリームやミルクを選ぶと良いでしょう。
ボディに塗るとどんな効果がある?
ボディの皮膚も加齢にともない乾燥しやすくなり、さらにはハリがなくなりくすみが気になるもの。そんな悩みがあるなら、保湿ケアにレチノール入りボディクリームの出番です。レチノール入りのものは保湿だけでなく、ビタミンCやナイアシンアミドなどエイジングの悩みに効く成分をバランス良く肌に届けてくれる処方のものが多いことも特徴。顔だけでなく体の大人肌も健やかなコンディションにしてくれるはずです。
ボディのレチノールケアを効果的に使うコツ
撮影/金谷章平
微量&数日おきからスタート!少しずつステップアップを
肌にあるビタミンA量がスキンケアで増え始めると、赤みやヒリヒリ感、皮剥けや吹き出物などの肌トラブルが発生することがあり、これをA反応(レチノイド反応)と言います。これを防ぐため、使い始めはレチノールの濃度が低いものを選び、体の一部だけに数日おきに塗るなどから始めましょう。慣れてきたら徐々に塗る量を増やしたり濃度が濃いものを選んだりして、ステップアップしていく方法が正解です。
長期的な視点で「ビタミンA貯金」を
レチノールは今日塗ったら翌日すぐに効くというわけではなく、体に蓄えられることでエイジングや外的ダメージから肌を守ってくれる成分。そのため「ビタミンA貯金」という言葉があるほどです。日々のケアで少しずつ肌のビタミンA量を増やしキープするイメージで使いましょう。今の悩みを改善してくれるだけでなく、将来への予防にもつながります。
インナーケアでもビタミンAを意識
スキンケアとあわせて、ビタミンAが多く含まれる食材を摂取してインナーケアも意識できると効果的。日々の食事で緑黄色野菜などを積極的に摂る心がけを。
保湿ケアのレベルアップを
レチノールは肌を乾燥しやすくしてしまう一面も。レチノールケアをする場合は、セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分も配合されているものを選ぶなど、保湿もより一層重視しましょう。
レチノール入りアイテムでボディケアをする際の注意点
撮影/金谷章平
妊娠中は使用のストップを
妊娠中はビタミンAの過剰摂取に注意が必要で、塗るケアも同様です。レチノール入りスキンケアの使用は控えてください。
A反応(レチノイド反応)が起きたら攻めのケアはセーブ
肌の赤みや皮剥け、かゆみなどのA反応が起こってしまったら、ゆらいだ状態が過ぎるまでレチノール入りコスメでのケアは中断しましょう。肌が慣れれば次第におさまるものですが、肌荒れはA反応以外のトラブルである可能性もあるため、ひどい場合は医師に相談を。
紫外線対策を万全に
レチノールのうち「ピュアレチノール」は紫外線の影響を受けやすいため、朝のケアに使う場合はSPF30以上のUVカットコスメを上に塗るよう心得て。朝はレチノール入りコスメは使わないことも対策の1つになります。また、海へのレジャーやキャンプなど、強い紫外線を長時間浴びる予定がある場合は、数日前から使用を控えるとよいでしょう。なお、パルミチン酸レチノールや、レチノールと似た効果を持つバクチオールであれば紫外線の影響がないため、それらが含まれるものを選ぶのも手です。
酸化を防ぐ保存方法を
レチノールは空気に触れると酸化し効果が弱まるため、保存方法に注意が必要です。商品の中にはパッケージの工夫で空気に触れにくいものもあります。
レチノールの種類と特徴
皮膚に塗る成分として、今回フォーカスしたレチノールのほかにビタミンA誘導体の「トレチノイン(レチノイン酸)」がありますが、トレチノインは作用が強く医薬品成分とされているもの。対してレチノールは作用が穏やかで、化粧品や医薬部外品に配合されいます。ボディケアコスメに含まれているのはレチノール。種類がいくつかあり主に下記の6種類です。それぞれの特徴とともに解説します。
- ピュアレチノール(純粋レチノール/生レチノール)
化粧品に配合されるレチノールの中では効果が高いもの。成分表には「レチノール」と表記されています。刺激や紫外線の影響も受けやすいことが特徴です。 - 酢酸レチノール
レチノールに酢酸を結合させて安定化させたもの。効果は穏やかで、紫外線の影響もほぼありません。皮膚への浸透力が高い特徴があります。 - パルミチン酸レチノール
レチノールにパルミチン酸を結合させて安定化させたもの。パルミチン酸は保湿力もあるため、肌をうるおしながらレチノールケアができます。最も安定性が高いレチノール誘導体で、刺激を起こしにくい穏やかさも魅力。紫外線の影響を受けないため朝の使用にも安心。 - プロピオン酸レチノール
レチノールにプロピオン酸を結合させて安定化させたもの。刺激を起こしにくく、紫外線の影響もない穏やかなレチノール誘導体。浸透力はパルミチン酸レチノールよりやや高いとされています。 - リノール酸レチノール
レチノールにリノール酸を結合させて安定化させたもの。リノール酸が持つ美白作用も望めます。こちらも効果が穏やかなぶん刺激を起こしにくく、紫外線の影響も受けにくいです。 - 水添レチノール
レチノールに水素を結合させて安定化させたもの。刺激を起こしにくく、紫外線の影響も受けにくい穏やかなレチノール誘導体。
レチノール入りボディクリーム・セラム・オイル11選
今、続々と増えているレチノール入りのボディケアアイテム。プチプラから憧れブランドのアイテムまで、おすすめの11品を集めました。
Laline(ラリン)
Shea&Kukui ボディミルク
ラリンの高保湿ライン「シア&ククイ」から2023年夏に発売した、パルミチン酸レチノール入りボディミルク。シリーズ名にもなっているシアバターとククイナッツオイルの力で肌をうるおしながらエイジングケアも。ビタミンCとビタミンE誘導体も配合。ベタつかない心地よいテクスチャーです。
200g ¥3,600(Laline JAPAN)
TOUT VERT(トゥヴェール)
レチノミルク
ピュアレチノールをはじめとした4種のレチノールが時間差で働きかけるボディミルク。デリケートで変質しやすいレチノールが極力空気に触れないよう、製造時は窒素充填を、容器の中では空気に触れない「エアレス容器」を採用しています。5種のヒト型セラミドやナイアシンアミドなど、うるおいを与える成分もたっぷり。もっちりとしたつるつるの肌になれると話題の1本です。
300mL ¥2,380(トゥヴェール)
HADAmethod(ハダメソッド)
レチノペアクリーム
日本人の肌質に合わせた独自処方で展開する2023年誕生のスキンケアブランドの第一弾アイテムとして発売されたこちらは、レチノールのほかツボクサエキスやドクダミエキス、シソ葉エキスなどが入り、香りはフローラルウッディ。和の趣を感じながら、全身をうるおしてくれます。
250mL ¥2,200(コジット)
IKYLM(アイキュリム)
ボディ セラム
「360°あざとボディ」をコンセプトとする全方位ボディケアブランド「アイキュリム」のスターアイテム。パルミチン酸レチノールがハリを、ビタミンC誘導体が透明感を与えます。さらにナイアシンアミドが全身をつやつやにする、まさに“ボディケア美容液”。甘く漂うプリンシパル ハニーの香りでケアタイムも楽しめそう。
200g ¥4,350(CARTA COMMUNICATIONS)
ENVIRON(エンビロン)
モイスチャーACEオイル
レチノールケアに定評のあるエンビロンの酢酸レチノール入りボディオイル。ビタミンCとEも入り、くすみやごわつきが気になる肌をハリのあるしっとり肌にしてくれます。少量でもしっかりうるおすホホバ油ベースでベタつかない使用感。ボディケアはオイル派という人には特におすすめです。顔への使用も可能。
100mL ¥9,790(プロティア・ジャパン)
Lekarka(レカルカ)
トーニングローション
レカルカのボディローションは、同ブランドのほかのアイテム同様にヒト歯髄幹細胞順化培養液と合成ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1が配合された贅沢な1本。パルミチン酸レチノールと2種類のビタミンC誘導体なども配合され、乾燥した肌にうるおいとなめらかさを与えます。みずみずしいテクスチャーのローションを塗布してマッサージすると、マカエキスの作用で体を温めてくれることも特徴。
100mL ¥13,200(レカルカ)
Mon BAACE(モンバーチェ)
レチノボディ リッチ / ノーマル / ライト
モンバーチェのボディクリームは、ピュアレチノールとパルミチン酸レチノールを配合した「ノーマル」、ピュアレチノールがノーマルの2倍量入り、ほか3種のレチノール誘導体配合の「リッチ」、さらにレチノールの総合量が他2品に比べて少なめで低刺激の「ライト」の3品をラインナップ。A反応の様子を見てライトからスタートし、徐々にレチノール量を増やしていく使い方ができます。
ノーマル 400g ¥5,500、リッチ 400g ¥8,800、ライト 300g ¥3,300(ISKマテリアル)
fuuwa(フウワ)
美容液ボディミルク レチノール
fuuwaはとろけるようなテクスチャーのボディミルクが角質層をうるおいで満たしてキメを整え、肌表面で保湿膜ヴェールを作ることで健やかな状態に導くボディケアシリーズ。ラインナップ商品3種のうち、水添レチノール入りはナイアシンアミドも含まれ、乾燥でしぼんだ体にハリとツヤを与えます。
400mL ¥1,078(インターファーマ)
オーレヴェア
トリプルトリートメントミルク(V)
※写真は差し替え予定
レチノールのほか、ビタミンC誘導体やナイアシンアミド、シア脂、スクワランなど肌をうるおし整える成分が多数入り、伸ばしやすいゆるめテクスチャー。容量480gとたっぷり入っていて、全身に気兼ねなく使えるコスパも魅力です。同シリーズにはレチノールではなくバクチオール入りの「トリプルトリートメントミルク(B)」もあるので、朝と夜で使い分けても。
480g ¥1,078(東京アロエ)
毎日のボディケアをより効果的に!
ボディにもうるおいとつややかさを与えてくれるレチノール入りのボディケアコスメたち。毎日のケアで気兼ねなくたっぷり使えるコスパ品から、大切な日の前に使いたい1本まであるので、気分やシーンで使い分けても。乾燥対策をしながら、全身がつややかですべすべな肌状態でいられたら自己肯定感も上がりそうです。
文/小林博子
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