「生理は痛くて当たり前」と思ってやり過ごしていませんか。その我慢、もしかしたらあなたや娘さんの人生には必要ないものかもしれません。『VERY』でもおなじみの産婦人科医・宋美玄先生が、科学的・医学的な知見から知っておきたい性の新常識を伝授。生涯を通して身体を楽に、ヘルシーに保つライフスキルを身につけて、子どもたちにもその知識を引き継いでいきましょう!今回は、子どもが性のトラブルに直面した時、一番に頼ってもらうためには?
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「お母さんに相談する」関係性を築く
私たちが子どもの時は今ほど風通しが良くなくて、性に関しては隠すもの、という意識が強かったですよね。お母さん自身もそういう環境で育ってきているから、もしかすると正しい性知識がなかったかもしれません。
だから、妊娠してもお母さんに内緒でどうにかしようとしたり、生理の辛さを相談できない人もいたでしょう。でも、「お母さんに怒られる」と思って隠されたりビクビクしたりされるのは親として悲しいし、何より子どもが困っているなら力になってあげたいですよね。
性の知識だけでいえば、絶対に親から教えてもらわきゃいけないことではありません。でも今後、うっかり妊娠してしまった、性被害に遭ってしまった、生理が止まったといった〝性のトラブル〟に子どもが直面した時、一番に頼ってもらえる存在になるためには、日常から性の話をできる関係性が必要でしょう。
たとえば[HPVワクチン]についても、「明日、病院に注射打ちに行くから」で済ませず、性的な行為の結果、何が起きるのかを説明してあげればいいと思います。「セックスすると妊娠することもあるし、お互いにウイルスを交換し合うことがある。その中にはHIVのように命に関わる病気もあれば、ほっておくと不妊症になったりするクラミジアや、がんになるウイルスもある。でも、そういうリスクをワクチン接種やコンドームの着用で減らすことができるんだよ」と話してあげたら、思春期の大事なトピックも共有できますよね。
そういった土壌が親子間にあれば、生理や性的なこと、自分の性別に違和感を感じるようなジェンダーのことも相談しやすいのではないでしょうか。
子どもと話す時のポイントとしては、「清廉潔白で完璧に生きてきたお母さんを見本にしなさい」というような〝上から目線〟の態度をとらないことです。むしろ「お母さんも若い時はいろんな失敗をしてね」と、自分も苦労してきたことを率直に話してあげたほうが、子どもは安心します。
「お母さんもよくナプキン忘れてティッシュで代用したわ」とか、「スカートに血がついて大変だったのよね。だから生理の時は濃い色のスカートがいいよね」みたいに、寄り添う同志的なスタンスを意識してみてください。すべては日々の積み重ねです!
9歳の娘は、私の本(『生理だいじょうぶブック』『娘に伝えたい性の話』『女医が教える本当に気持ちのいいセックス・コミック版』)も読破していて、「セックスのやり方はわかるけど、まだしたいって気持ちがおこらないの」と言ってます(笑)。男の子は思春期になるとコミュニケーションが取りづらくなるかもしれないので、小学校卒業くらいまでのうちに性の話を一通りしておければいいですね。
▶︎「HPVワクチン接種は男女ともにメリットあり」【子宮の新常識④】
宋 美玄(そん み ひょん)先生
産婦人科医・医学博士。1976年兵庫県生まれ。2010年に発売された『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)がシリーズ累計100万部を超えるベストセラーとなり、TVや雑誌などでも活躍する。2017年には「丸の内の森レディースクリニック」を開院。患者と向き合う日々を大切にしている。9歳の女の子、5歳の男の子の子育て真っ最中。
『産婦人科医 宋美玄先生が娘に伝えたい 性の話』
(小学館/税込1,430円)
生理、妊娠、ピルといった学校では教えてくれない〝正しい性知識〟を漫画で教えてくれる一冊。男の子に知ってほしい知識も満載です
取材・文/小泉なつみ マンガ/辻井タカヒロ 編集/フォレスト・ガンプ Jr.
*VERY2021年9月号「娘に伝えたい「子宮の常識」アップデート」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。