「30代になり、急に白髪が増えた」という人、多いですよね。平均的に白髪が生え始めるのは30代半ばと言われていますが、そもそも白髪が生えてくる原因をご存知ですか?「白髪染めはいつから?」「染める以外の対策方法は?」と白髪でお悩みの人に向け、上手な付き合い方をご紹介していきます。
監修者
美髪アドバイザー/毛髪診断士
田村マナ美髪研究所代表
田村マナさん
国際線客室乗務員時代に肌や髪のトラブルに悩まされる100人のCA仲間と基礎化粧品ブランドCA101を立ち上げる。現在はオリジナルのセルフケア「美髪メソッド」を広めるべく多方面で活動。これまで1万人以上の薄毛や白髪などの悩みを改善している。著書に「大人の品は艶髪で作られる」(ワニブックス)他3冊。
Instagram @tamurra_mana
そもそも白髪になるメカニズムとは?
びっくりすることに、実は生まれたての髪はすべて白髪! 毛根にある毛母細胞で作られたばかりの髪はメラニン色素が含まれていないので、メラノサイト(色素細胞)が作り出すメラニン色素が取り込まれることにより、黒い髪となって生えてきます。
メラノサイトがメラニン色素を作るには、チロシナーゼという酵素の働きを必要とします。なんらかの原因によってメラノサイトの機能が低下すると、チロシナーゼの働きも低下し、メラニン色素は作られず、色が着かないままの髪が頭皮から生えてきます。これが白髪の正体です。
白髪になる8つの原因
では、なぜメラノサイトの機能が低下してまうのでしょうか? 明確には解明されていませんが、考えられるその原因は次の通りです。
1 加齢
年齢を重ねるごとに体内のチロシナーゼは減少し、メラノサイトの働きが低下するため。
2 ホルモンバランス
女性の場合、妊娠や出産の影響で白髪が増えることがあります。授乳による栄養不足やミネラル不足も関係します。
3 ストレス
必要以上のストレスを受けると大量の活性酸素を発生し、大量のビタミンCを消費します。活性酸素は老化現象を加速させ、ビタミンC不足もその一因に。
4 栄養不足
食生活の乱れなどで、メラノサイトの働きに必要な栄養素や、メラニンの材料になる栄養素が不足する。
5 紫外線
紫外線を浴びることで活性酸素が発生し、毛母細胞がダメージを受け、メラノサイトの働きも低下。
6 睡眠不足
細胞が生まれ変わるために必要な睡眠が不足することで、毛母細胞の働きが低下。睡眠中に分泌され、活性酸素を取り除く働きがあるメラトニンの減少も影響。
7 血行不良
体内の細胞に栄養を送る血流が悪くなり、必要な栄養素が頭皮まで届かないため。
8 外的ストレス
カラーやパーマ、摩擦などの刺激が肌を炎症させることでメラノサイトが弱まるため。
白髪って抜いてもいいの?
“白髪は抜くと増える”という話を聞いたことがあると思いますが、実は科学的根拠はありません。ただ、抜くときに強い力が加わることが毛根へダメージを与え、髪の成長サイクルに悪影響を及ぼすことがあります。ときには生えてこなくなることもあるので、避けた方がいいでしょう。生えてきても白髪の可能性が高く、短い毛はツンツンと立って余計目立ってしまいます。まだ白髪の本数が少なく、目につく場所でやむを得ず……ということなら、根本からハサミで切ることをオススメします。
白髪はいつから染めるべき?
髪の内側や後頭部などに白髪がある場合
かき分けないと目立たない場所に白髪がある場合は、分け目をジグザグにとったり、ヘアアレンジでカモフラージュしたり、ハイトーンのインナーカラーを入れるなどの対処がおすすめです。白髪染めのダメージを考えると、白髪の本数が少ないうちは隠す&馴染ませて目立たせない方法を考えたほうがいいでしょう。
髪の表面や生え際、分け目に白髪がある場合
白髪の分量が約2割を超えて人目に目立つように感じたら、通常のカラーリングよりも白髪染めを検討しましょう。白髪染めとひと口にいっても下記に挙げるように、種類はいろいろあります。ヘアサロンで相談すれば、今までのカラーリングに白髪染めをトッピングするなど、ダメージは最小限に好みの色を楽しめる提案をしてくれるはず。
白髪染めの種類
白髪を染めるとなったとき、選択肢は白髪染め1つではありません。白髪の量や気になる度合い、目指す仕上がりなど、状況に合わせてベストなケアをしていきましょう。
ファッションカラー(オシャレ染め)
いわゆる通常のカラーリングに使うもので、本来白髪を染めるものではありませんが、アルカリ剤でキューティクルを開き、脱色してから染色するという基本的な仕組みは白髪染めと同じです。違いは脱色と染色の力のバランス。脱色力が高く染色力は低いので、多い白髪を隠すのには適しませんが、まだ少ない白髪を馴染ませる目的ならこちらの選択肢もあります。
グレイカラー(白髪染め)
毛髪を脱色しながら染めていくファッションカラーと違い、毛髪に色を染み込ませていくのが白髪染めヘアカラー。髪の内部までしっかり染まるため、ある程度の明るさや色味を選べます。色持ちは2ヶ月程度。ファッションカラー同様に髪や地肌のダメージがあります。白髪染めヘアカラーに多く含まれるジアミン染料にかぶれることもあるため、初めて染める場合は、パッチテスト(皮膚アレルギー試験)をするなど注意が必要です。
ヘアマニュキュア
髪の表面をコーティングして染める方法。髪色を明るくするのには向いていませんが、艶のある仕上がりになり、頭皮に対して負担は少なめ。色落ちが早く、生え際1~2mmは染められないため、2週間程度で白髪が気になり始めることも。
ヘナ
インドなどで取れる植物を原料にした染料。黒髪だと変化がわかりくいけれど、白髪はヘナの葉に含まれるオレンジ色の色素で褐色に染まります。黒髪となじむような落ち着いた色みに染めるには、ほかの天然染料をブレンドするなどで調整が必要です。一方で髪や頭皮を傷めず、トリートメント効果もあります。準備の手間がかかるため、天然成分にこだわりがあり、赤味の強い髪色でもいいという人にはおすすめです。
カラートリートメント
普段のトリートメントに置き換えて、シャンプー後に数回使う事で徐々に髪に色をつける方法。入浴のついでに染められて手軽なため、ヘアサロンに行くまでのメンテナンスにおすすめです。表面のみを染めるため明るさは出せず、色落ちが早いので継続的に使う必要があります。髪や頭皮への刺激は少なく、最近は美容成分やダメージ補修成分を配合したものも増え、人気があります。
セルフカラーリングの注意点
白髪が気になり出してもすぐにはサロンに行けなかったり、コロナ禍でちょっとサロンに行く頻度を減らしておきたいなど、様々な需要から白髪のホームカラーリング剤も充実しています。サロンのように大満足の仕上がりとはいかないかもしれませんが、下記のような点に気をつければ、十分トライする価値があります。
まずは、パッチテストを
いつものサロンでは大丈夫でも、家庭用のカラー剤はまた別のもの。パッチテスト(皮膚アレルギー試験)でアレルギーが出ないかチェックするのを忘れずに。
汚さない服装で
塗る順序、放置時間に注意
頭皮に近いほど、体温の影響で染まりやすくなり、根元が明るくなりすぎることも。また、時間が長いほど染まるということはなく、放置しすぎるとダメージが大きくなります。まずは指定の放置時間を守りましょう。
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30代のうちからできる、白髪の予防と対策
まずは生活習慣の見直しを
白髪を増やさないためにも食事、睡眠、運動を意識的に改善することで、メラノサイトの働きを活性化させましょう。バランスの良い食事、とくに抗酸化作用のあるビタミン、ミネラルを意識して摂取することで、メラニン色素の育成を促せます。サプリメントやハーブなどで補うことも有効です。
頭皮にアプローチするケアアイテムを投入
髪を育むには、なんといっても土壌となる頭皮のケアが大切。頭皮のエイジングや乾燥に向き合うスペシャルアイテムで、白髪になりにくい頭皮環境を整えて。毛根のメカニズムに着目したスカルプトリートメントやローション、薬用発毛美容液などで徹底ケアを。白髪だけではなく薄毛などの不安のためにも、早めにスタートが正解です。
頭皮マッサージで血行と発毛を促進
美しい髪は、やわらかで弾力のある健康な頭皮から育まれます。シャンプーしながら頭皮をほぐせるギアやブラシを使って、カチコチになった頭皮をほぐしてあげて。湯船に使って全身温まった状態なら、めぐりもアップして一石二鳥。頭も目もすっきり、頭皮マッサージは発毛を促進させるだけでなく、お肌ゆるみにも効果。
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ヘアカラー後は専用シャンプーに切り替え、黄ばみ&色落ち防止を
カラー後の頭皮と髪は敏感でダメージを受けやすい状態。ホームカラーの場合はとくにカラーの成分が髪と地肌に残りやすいと言われています。ヘアカラー後専用のシャンプーやトリートメントで、キューティクルを整えて、健康的な状態に近づけてあげるケアが大切。色落ちや黄色みが強くなる髪の褪色も抑えてくれて、キレイな髪色をキープできます。
リタッチアイテムを使いこなそう
まだ数本の白髪や、分け目や生え際の目につく白髪、カラーとカラーの間のつなぎにピンポイントで使える白髪隠しアイテム。簡単にセルフカバーできてムラなく自然に仕上がって、化粧ポーチに入れても違和感がない洗練されたパッケージも選びたいポイントです。
髪ダメージも防ぐカラートリートメントを取り入れる
キレイになりたくて白髪染めを使うのに、髪がダメージを受けてしまいキレイに見えなかったら本末転倒です。美容成分が配合されたカラートリートメントは、ダメージを最小限に白髪を染められるアイテムです。白髪が伸びてきたときの根元のキラキラも目立ちにくくしてくれるから、髪への負担が大きいカラーリング頻度を抑えるべく投入したいホームケアです。
白髪と上手に付き合う方法を見つけて、ヘア活につなげよう
うっかり見つけてしまった白髪、気づけばあちこちにちらほら………(涙)。髪の艶は低下して手触りも悪くなるため気分的にも上がらず、老けたイメージや疲れた印象に悩みますよね。アラサー世代のまだ本数が少ないうちに、対策をしておきたいところです。とはいえ、個人差はあるものの今後増え続けていく白髪は、上手に付き合っていく方法を見つけることも大事。生活習慣を見直して、ヘアケアにつながるアイテムを選ぶことで、若々しさをキープする艶やかな美しい髪を手に入れましょう。
文/叶野愛
*本記事は過去掲載記事を元に再編成したものです。
*掲載中の情報は最終更新時のものです。商品は販売終了している場合があります。
公開日:2021.04.04
よくある質問
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白髪ってどうして生えてくるの?
そもそも、生まれたての髪は白髪。メラニン色素が取り込まれることで黒い髪となって生えてきますが、なんらかの原因でメラニン色素が作られないと、白いまま生えてきます。
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白髪の原因はどんなもの?
加齢、ホルモンバランス、栄養不足、ストレス……さまざまな原因があると考えられています。
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白髪って抜いてもいいの?
「白髪は抜くと増える」「白髪を抜くと黒い髪が生えてくる」などという話を聞いたことがある人も多いと思いますが、科学的根拠はありません。むしろ抜くときに力が加わることで毛根にダメージを与えてしまう可能性があるので、避けた方がいいでしょう。
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30代のうちからできる、白髪の予防や対策はありますか?
食事や睡眠など生活の質を改善し、ビタミンやミネラルを意識的に摂取しましょう。また、頭皮ケアも心がけてメラニン色素の元になるメラノサイトの働きを活性化しましょう。