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2020年8月6日発売

780円(税込)

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青山祐子ブログ「外国人ヘルパーに支えられて」

真夏の蒸し暑い香港は、今、新型コロナ第三波と戦っています。

1日の新規感染者が初めて100人を超え、これまでにない厳しい規制が強いられました。レストランは午後6時以降、翌朝5時まで店内飲食禁止。

公共の場での集まりは4人まで。学校、プール、ジム、屋外運動場も閉鎖です。

4月末から2ヶ月近くほぼゼロに抑え込んでいたのに、感染ルートが分からない例が増えています。

子供達は、親友が香港を離れる日が近づき、

お互いの家に泊まり、残された時間を一緒に過ごしています。

8歳の長男は、親友と難易度の高いハイキングコースに挑戦してきました。

急勾配の道、切り立ったがけにロープが張られた場所を進みます。

ベテランのハイカーにも助けてもらいながら、往復で2時間半頑張ってきました。

自然の中で得られる体験は貴重ですね。

さて、今回は、私が香港を離れられなくなった魅力の一つ「ヘルパー制度」について紹介します。

香港では、40万人のフィリピン、インドネシアなどからの外国人ヘルパーが働いています。

雇い主の家でプライバシーを守って一緒に住むことが条件で、

子供の面倒、介護、家事、料理などの手伝いをします。

多くの世帯住宅にはヘルパー用の部屋が備えられています。

香港の子供がいる世帯の3分の1が雇っていて、小学生以下の子供がいる世帯で見ると、その数字はもっと高くなり、私の子供達の学校の小学校低学年以下ではヘルパーがいない家庭を探すのが難しいくらいです。

ヘルパーは雇用条件がしっかりと定められ、違反した雇用主には罰則が科されます。

月の最低賃金はHK$4,630(約64000円)と食費HK$1,121(約15500円)、合わせておよそ月79000円です。日本だと保育園に一人通うくらいの金額で、住み込みヘルパーが雇えます。(保育料無償化前と比較)

この金額はフィリピンの平均月収の倍の収入、

私の家にいるヘルパーは田舎から来ているので、フィリピンで働いた場合の3倍の月収だと話します。フィリピンでは教授の平均月収が約3万円、フライトアテンダント約2万円、ホテルの受付約8000円です。

「香港で働いて、わたしには叶えたい夢がある」と話す彼女は、現在フィリピンで、洪水の心配がない高台に新しい家を建て始めています。

フィリピンは国としてヘルパーを送り出すことに力を入れていて、

国立のヘルパー養成学校で2ヶ月ほど、ベッドメイキングや洗濯、中国語の勉強をして香港へ来ます。

ヘルパー向けに料理教室を行っている日本ゆかりの企業もあります

コロナ規制がない頃は、毎週日曜日に街にヘルパーがたくさん集まって休暇を過ごしている光景をよく見かけました。彼女達のネットワークは強く、より良い労働条件の家庭へと転職することもあり。他の雇い主からより高額な給料で引き抜かれることもあるので、

本当に良いヘルパーに巡り合ったら、毎年条件を上げて、満足して働いてもらう必要があります。うちは給料に加えて、フィリピンへ年三回帰れるようにして、彼女自身の子供達、家族と過ごせるようにしています。ヘルパーの気持ちが安定していると、私の子供達への接し方にも余裕ができ、より良い気持ちで一緒に過ごせると考えています。

ヘルパーは、私たちにとって家族のような存在になっています。

子供達は彼女が大好きで、グズっている時はヘルパーの方が上手にあやしてくれます。

ヘルパー同士が企画して同じ歳の子供達を遊ばせたり、スポーツや塾など習い事へ連れて行ったり。子供が4人もいると一人一人に手が回らないので、なくてはならない存在です。

日本では、日本人が外国人ヘルパーを個人で雇うことは認められていません。

日本で働く外国人であっても、年収3000万円以上の一部の人に限定されています。

住み込みヘルパーと言うと、贅沢だ、子供の面倒をみるのは親が当たり前。他人、まして外国人を自分の家にあげるのが嫌と日本ではすぐ言われます

香港では、ヘルパー制度が充実していることで、母親の社会復帰を後押しし、

少子化問題解消にも繋がると感じます。

子育てを一緒に手伝ってもらえるヘルパーのおかげで、わたしの周りの香港在住の日本人の家庭では子どもが3人いるところが多いです。

部屋の片付け、掃除、食事の用意などに追われるストレスが減る分、

子供との時間をより楽しめます。

特に、子供が生まれてから2歳くらいまでの一番手のかかる大変な時期、ヘルパーに助けてもらうことで自分の時間を持てたことは本当にありがたく、育児鬱になることもありませんでした。

子供の英語教育のためにフィリピン人を雇っている家庭もあります

子供世帯だけでなく、高齢者にとってもヘルパーの存在は大きく、

老人ホームへ入らず、自宅での生活を続けることを可能にしています。

高齢化が進む日本では、外国人介護職員受入れに力を入れ始めています。介護の資格を持ったホームヘルパーもいます。

これらの専門資格が必要な制度に加えて、

介護が必要ない人も身の回りの掃除、洗濯、食事、買い物などを手伝ってくれる人を雇える制度が広がってもいいのではと思います。

まだまだ日本では制度上も、日本人の考え方も変えなければならない点の多いヘルパー制度ですが、近い将来、より充実した生活を送るために、ヘルパー制度という選択肢が増えても良いのではないのでしょうか

写真コメント:中国が制定した「国家安全維持法」が7月1日香港返還記念日に施行され、BS日テレ『深層ニュース』で現状をお伝えしました。

青山 祐子YUKO AOYAMA

青山祐子 筑波大学卒業後、NHKに入局。長野、トリノ、ソルトレークシティー、北京、バンクーバーオリンピック現地キャスター、2008年4月~2011年4月 NHK「ニュースウォッチ9」メインキャスター、NHK「スタジオパークからこんにちは」司会など、スポーツからトーク番組、ニュースキャスターなどさまざまに活躍し、2019年に退職。2020年よりフリーに。プライベートでは4児の母で香港在住

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