今月の特集は
「自分をコントロールする力」
いじめる子が悪いのか、いじめられる子にも一因はあるのか。いじめ問題を取材をしていると「いじめられる側にも原因がある」と感じている人が実に多いことを痛感します。詳しくは9月号の連載をご覧ください。

実は最近、こういうご相談が増えています。つまり、「じっとできない」「人の話を聞いていない」「好きなことには集中するが、興味のないことには見向きもしない」「すぐに泣きわめくなどパニックになる」ような言動を取る子はADHD(注意欠陥・多動性障害)ではないか、というわけです。
安易にそういう発言をする教育関係者や医療・福祉関係者には要注意です。なぜならADHDは一つの生活場面の状況だけから簡単に診断できるものではないからです。また、たとえADHDだったり、その傾向があるからといって、即「精神科に行け」とか「うちでは見られない」というのはナンセンスも甚だしい。なぜなら、ADHDだったりADHD的だったりすればなおのこそ、その子のニーズを踏まえた教育的指導が必須だからです。そもそも小さい子は多動で衝動的なものです。だからこそ、健全な人格形成のためには"5、6歳の時期に、自分を律することを学ぶ必要がある"と言われているわけです。
リンカちゃんの場合、確かに家では大変なのでしょうが、学校ではそういう様子は見られないとのこと。ADHDの課題は場面に応じて対応できない点にあります。ならば、原因は別のところにありそうです。ご夫婦の仲、祖父母との関係、父親と母親の言うことが場面によって異なる、妹や弟との関係、いじめや虐待などの暴力との関係など、医療機関に行く前に、今一度、整理し直してみてはいかがでしょうか。
可能性はいくつか考えられます。まず、帰国子女ゆえの問題です。フランス語も日本語も中途半端のまま帰国したわけですから、あらゆるところで混乱が起こっていると考えられます。たとえばメイちゃんがいる社会(学校ですね)のルールが違う。お友だちとの接し方が違う。遊びのルールが違う......。違うということは分かっているけれど、それにどう対応したらいいかわからない。まして、自分がイライラしている原因もわからないし、漠然とわかっていたとしてもうまく言葉にもできない......。
これは言語が確立する前に海外にいた子どもたちによくみられるケースです。この場合、本誌の連載『学校のソムリエ 3rd seaon』にも書きましたが、まずは「語彙力を上げる」こと、それから「使える語彙を増やす」ことを目指しましょう。語彙を増やすには、絵本など本を読んで聞かせるのは一つの方法です。読み聞かせたときに、物語の感想ではなく、内容について質問してみてください。ここでの目的は①内容を理解しているか ②理解した内容を自分の言葉で言えるか ③聞いた言葉を使えるかです。
二つめの可能性は、ADHD(注意欠陥・多動性障害)をはじめとする発達的な課題があるか、なにかほかの内疾患等があるか、という可能性です。これは専門医に診てもらわなければわからないことですから、気になる方は最寄りの大学病院の小児科や都道府県立の子ども医療センターなどにお問い合わせください。
また「勉強するなら携帯電話を持たせてあげる」など、保護者側が子どもと取引をするのは反社会的な行動を取るリスクを上げることになりますから、やはり賛成できかねます。
大事なことは、家庭で決めたルールを大人は譲らないことです。そのとき、母親はダメだというけれど父親はOKする、両親はダメだと言うけれど祖父母はOKするなど家庭内の大人の間で言動の統一が取れてないと子どもにはルールは入りません。つまり、大人側に決めたことは徹底する強さが求められます。
そのためにも、最初にルールを決めるときにメタ・ルール(ルールを支配するルール)を決めておくといいでしょう。たとえば、リカちゃんのような場合なら「携帯電話は大人が送り迎えできないときにのみ持たせる」などです。子どもの言い分に妥協する形でルールを破ってしまうことは、子ども自身が将来的に不利益をこうむることにつながります。
ちなみに、子どもは材料としていじめを持ち出してきますし、実際にいじめられることもあるかもしれません。ですが、これについては別の観点が必要です。本誌でも紹介していきますが、いじめなど逆境に強い子どもに育てることのほうが、社会を生き抜く力に直結し、将来の自立や社会参加を踏まえるとプラスになります。
最近、思いどおりにいかないと激しく泣いたり暴れたりする子どもに対して、ADHDや自閉症などの発達障害だと短絡的に考える教育者や保護者が増えているようですが、この判断は慎重にしてください。発達障害の診断は専門家でも難しく、典型的な状態像を示すからといって安易に障害として捉えることは絶対にNGです。まずはそういった状態像が起こってくる可能性を多角的に考え、いろいろな方向から検討することが必要です。
マモルくんの場合、「白目をむいて泡を吹いて気絶した」点が気になりました。ADHDなどの機能不全を疑うまえに、まずは神経系の疾患等がないかを一度調べてみてください。
まず、前回同様、こちらの方もお嬢さんが性器を触ることに悩んでおられるのですが、前回の方がまだ触り始めであるのに対し、こちらの方は「すでに習慣化」しておられます。病気も教育も"早期発見・早期対応"が効果的であるのは言うまでもありませんが、問題を発見したときにすぐ指導することが大事です。これは、今回のような課題に限らず、いじめも不登校も学力不振も社会性の問題も、何にでもあてはまる原理原則だと取材を通じて痛感しています。
さて、のぞみちゃんママは問題を二つに分けることが必要です。一つめは「のぞみちゃんが人前でもずっと性器を触ってしまって止まらない」こと、二つめはママ自身が「子どもに手を上げてしまう」ことです。
一つめの課題については、前回の回答同様、まずは「しょっちゅう触ることは病気につながるので、本人のためによくない」と事実を踏まえて説明しましょう。「触ってはダメ」と怒ったり手を上げても、触ることがすでに習慣化してしまっているのであれば効果はないと私は考えます。それよりも、触ることは感染症につながること、感染症になると最悪、子どもができなくなったり、重大な病気になったりすることもあることなど、医学的な事実を踏まえて本人自身にリスクがあることを説明します。それから、ところかまわず触っていると誰が見ているかわからないので事件に巻き込まれる可能性がないとはいえず、これまた本人の命にかかわるリスクがあることを教えてください。と同時に、触りたくなったらどうするか本人自身に決めさせ、どうすればそれが実行できるか一緒に考えてあげてください。
二つめの課題は、ママ自身の怒りのコントロールをどうするかということ。のぞみちゃんと話しているときはカーッとしやすくなることを自覚し、その瞬間がどういうときか体の変化を意識してみてください。その変化に気がつけるようになったら、ストレス回避のために自分ができること(アロマなどの匂いをかぐなど)を探してみて。それまでは、手を上げそうになった瞬間、ひとまずその場から離れるようにしてみるといいでしょう。
とても大事なご相談です。ありがとうございます。我が国では性教育はなかなかデリケートな問題になっていて、効果的な指導方法が確立しているわけではありません。性教育というとセックスの方法や避妊について教える教育だととらえている現場も少なくなく、一方で、教育現場や保護者の間ではいまだに「寝た子を起こすな」的な主張が根強いところも多く、子どもたち自身にとって実質的に意味のある教育がおこなわれているかどうか......。
さて、ご相談の件です。こういうときに、「触ってはダメ」「女の子はそういうことをするものではない」だけでは不十分。とてもいい機会ですから、まずはセックスの教育ではなく性器の教育を。人間にはプライベートゾーンがあり、性器はその一つ。性器の役割にはじまり、性器は人に見せたり人前で触ったりする部位ではないこと、性器を汚れた手で触ると感染症になったり尿道炎を起こしたりするなど病気になることも教えましょう。
そういった正しい情報とともに、「性器を触りたくなったらどうするか」代替行為を決めるといいでしょう。そうしたくなったら、その場でジャンプするなど代わりになりそうな望ましい行為をお子さんと相談して決めてください。タバコを吸いたくなったら禁煙パイポをくわえる、というようなことと同じです。
ママ同士がうまく付き合えず、その影響が子どもたちに出て仲間はずれなどからいじめが始まってしまう......。残念ながら、こういった話は全国どこにでもある話です。いじめ予防という観点に立つならば、学校側が具体的にいじめ予防を踏まえた指導を子どもたちに行っていくのがいちばん効果的なのですが、現実的にはなかなかそういったことは行われず、当該児童と親だけが苦しんでしまうケースをたくさん取材してきました。
ではリョウコちゃんママにできることはなんでしょうか? 原理原則は①子どもにいじめに負けない力をつける ②ほかの保護者との接点をできるだけ少なくする状況をママ自身がつくる、だと私は考えます。たとえば、①についてであれば、幼稚園以外のお友達が作れるような場(幼稚園のお友達があまりやらないようなお稽古事を始める。それも、異年齢の子どもたちが混じっているようなもので、自分で目標設定してそれを達成していけるようなお稽古事だとなおよい)を探してみてはどうでしょうか? 子どもの世界が家と幼稚園だけでは、こういう状況になると息が詰まります。お稽古事を通して、自分のことを理解し、目標達成することで自尊感情を上げていくのが狙いです。
また②については、仕事を始めたり大学に通い直して勉強を始めたりするのはどうでしょうか? それも数年後こうしていたいという、あなた自身の人生設計をベースに何かを始めるのにはいい機会です。そうして、幼稚園ママたちと付き合いたくても付き合う時間がない状況を自分で作るのです。そのときに「私は仕事があるから付き合えないわ」などと言ってはダメですよ。人は人、ご自身のことに邁進すればいいだけです。
お子さんの発言がきっかけでケンカになり、先生から注意された結果、学校に行きたくないと言いだしている。親としても謝罪があるまで、学校に行かせたくないが、それがどうかということですね。課題がいくつか混在しています。スモールステップで考えてみましょう。
まず、お子さんの発言について検討しましょう。
ファストフードなど外食品のなかに添加物が入っているものがあることは事実です。そして、オーガニックな食生活を送っておられるので添加物を排したいという事情も理解できます。ですが、添加物が本当に毒なら国が認めるわけはありませんよね。そこは比喩としておっしゃっておられるのでしょうけれど、息子さんは字義通りに受け取ってしまい、だからほかの子どもさんを正面から否定してしまいました。そうやって食生活を否定された子どもさんはどういう気持ちになったでしょうか? 少し考えればおわかりいただけることと思います。
ポイントは2つ、事実を正しく教えることと社会の実態を踏まえることです。「添加物は毒」は事実ではありません。ジュンくんママの場合、①アトピー性皮膚炎がひどかったことから我が家の食事は農薬や添加物をいっさい排除している②外食品のなかには農薬や添加物を使ったものもある③だから我が家では外食品は食べない、と説明しながら、④世の中の人すべてがそうするわけではなく、いろいろな人がいる ⑤多様な食生活の存在について否定しない、と伝えるといいと思います。
それから、子どもを学校に行かせたくない、ということですが、これは保護者が子どもの登校渋りを助長するようなもの。小学2年生の段階で登校渋りから不登校になってしまったら、のちのちお子さん自身が不利益をこうむります。この場合は望ましい指導とは言えません。
子どもの肥満は、ここ数年、小児科医の間でもよく話題になります。私自身、幼稚園や保育園に行ってコロコロした子どもたちが増えたような気がして取材したことがありますが、幼稚園や保育園の先生たちの実感としても「太っている子が増えた」という印象だと聞きました。
子どもの肥満の原因はいろいろと言われていますが、ファストフードやコンビニ弁当を食べる機会が多いこと、居酒屋などで大人用に作られている油っぽい肉料理などを食べる回数が増えたこと、お菓子が多様化して食事を取らずに間食を取ることのほうが多いこと、知らない間に取る糖分の量も増えていること、朝ご飯を食べず晩ご飯がヘビーなことなど、偏った食生活がまず挙げられます。
それから夜型の子どもが増え、睡眠リズムが崩れていること。また運動量も減っていること。昔は日が沈むまで外をかけずり回っていた子どもが、今は深夜までテレビゲームやWiiをする時代。テレビゲームをするから夜型になり、外で遊ばないからエネルギーは消費せず、お菓子を食べる回数も増える、というわけです。
そんな子どもの肥満を解消するために、絶食させる保護者も少なくありません。
ですが、大人と違って成長期の子どもに食事制限をすることは、その子の健全な成長を阻害する危険性がとても高いことを忘れないでください。ゴウタ君の場合は、どういう食生活を送っているのでしょう? まずはその記録を取るところから始めてはいかがでしょうか? それをもとに、何歳の子どもにどういう栄養素が必要か調べて、必須なものを摂取しながらまずは食生活を変えていくことを目指してください。と同時に、運動量を増やすことでテレビゲーム一辺倒で夜型の生活を徐々に変えて。一気に痩せようとしても、成長を阻害するなど大きな問題がのちのち出てくる危険性をくれぐれも念頭においていてください。
それは本当にお辛いでしょうね。子育てだけで十分ストレスがたまり心身ともに疲れるのに、眠れないとか動悸がひどいというとますます身体の不安で状態がしんどくなることでしょう。
最近、女性専用クリニックのなかに婦人科と精神科、内科などを併設しているところが増えてきました。こういうところは、場所によっては子ども連れでもOKなところもあります。まずはそういう病院に行き、精神科だけではなく婦人科も一緒にみてもらってください。鬱病だと思っても、実は婦人科系や内科系の病気の場合だということもありえます。自己判断せずに、ここはなんとか時間を作って病院に行ってみてください。子どもと一緒に行ける病院がない場合は、自治体の福祉課などに相談すると一時的に預かってくれる人や場所を紹介してくれることもあります。



